(公財)日本釣振興会は4月10日、和歌山県串本で串本ダイビング事業組合と共同でアオリイカの産卵床を4か所に設置しました。日釣振は設立以来全国の内水面及び海水面で放流事業を行い、累計で10億円以上の稚魚放流を実施してきました。平成25年度からは稚魚放流に加え、魚が産卵しやすい環境整備のためにできる範囲で産卵床や漁礁等も手掛けてゆくことになり、その第一弾として今回のアオリイカ産卵床の設置を行いました。
4月9日はお寺の許可を得て、お寺が所有する山の木をダイバー達と伐採しました。急斜面に生えている木は台風時折れて下にある家の屋根に倒れてくることもあり、お寺も伐採を希望していました。伐採作業現場は急斜面のうえ、大きな木でしたのでチェーンソーを使って伐採し、その後産卵床として使用する枝の部分を切り取り近くの港まで運びました。
翌10日は朝9時に、3隻の船に前日伐採した枝を積み込んで20名のダイバーとともに設置場所に向かいました。設置場所周辺は水深18メートル前後あり産卵に適しているとのことで、設置場所に到着後土嚢を投入。その後産卵床となる枝をダイバー6, 7名で海底まで引っ張り土嚢や海底の岩・鉄等にロープで固定して作業は終了しました。水深があり枝も大きいため、4か所で産卵床を固定する作業には約2時間かかりました。
串本周辺では近年ホンダワラ等アオリイカが産卵をする海藻類が減り、アオリイカは捨てられた漁網やサンゴの間に産卵をしているとのことです。そのためか産卵床設置後早い時は2、3日で寄ってきて産卵をすることもあるようです。アオリイカの産卵シーズンは4月末から8月頃まで続きます。日釣振では今後静岡県西伊豆の田子、静岡県伊東、神奈川県江の島で産卵床の設置を予定しており、将来的にはこうした活動を広げてゆく計画です。今後設置した産卵床にアオリイカが産卵した写真等も入手次第HPで紹介をしてゆきます。