【資料】欧米の研究機関によるネオニコチノイド系農薬の淡水魚を含む水生生物への影響

ネオニコチノイド系農薬は淡水魚を含む水生生物に対しても有害な影響を及ぼすことが報告されています。

【影響の概要】

  1. 神経系への影響
    ネオニコチノイドは昆虫の神経系に作用することで効果を発揮しますが、淡水魚の神経系にも同様の影響を及ぼす可能性があります。
    研究では、これらの農薬が魚の行動や生理機能に変化を引き起こすことが示されています。
  2. 生存率の低下
    高濃度のネオニコチノイドに曝露された淡水魚の生存率が低下することが観察されています。
    これは、直接的な毒性効果や、餌の不足(昆虫の減少による)などの間接的な影響によるものです。
  3. 繁殖への影響:
    ネオニコチノイドは淡水魚の繁殖にも影響を与えることがあります。具体的には、産卵率の低下や卵の孵化率の減少が報告されています。
    これは、農薬の神経毒性が魚のホルモンバランスを乱すためと考えられます。

【具体的な研究例】

  • 研究例1
    カナダの研究では、ネオニコチノイドの一種であるイミダクロプリドがカワムツ(Pimephales promelas)に及ぼす影響を調査しました。
    この研究では、イミダクロプリドに曝露された魚が行動異常を示し、生存率が低下することが確認されました 。
  • 研究例2
    ヨーロッパの調査では、ネオニコチノイドの濃度が高い地域の淡水域で、魚の個体数が減少していることが報告されています。
    これには、農薬の直接的な毒性に加え、餌となる水生昆虫の減少が影響しているとされています。

【結論】

ネオニコチノイド系農薬は、淡水魚を含む水生生物に対して有害な影響を及ぼすことが明らかになっています。
これらの影響は、魚の行動、生存率、繁殖能力に対して重大なリスクをもたらします。
そのため、これらの農薬の使用に関しては慎重な管理と規制が必要とされています。

 

◆参考文献
•European Commission. “Neonicotinoids – European Commission.” Retrieved from European Commission.
•US EPA. “Schedule for Review of Neonicotinoid Pesticides.” Retrieved from US EPA.